盲導犬は身近な存在ですが、意外と知られていないことが多いようです。盲導犬は、身体障害者補助犬の一種で、視覚障害者の移動や生活の一部を助けるため特別な訓練を受けた犬の事です。盲導犬はどのような仕事をしてくれているのか。盲導犬と出会ったら何を気を付ければいいのか。どう接すればよくて、何をしてはいけないのか、知らないことが多いのでは?と思います。

ここでは盲導犬に関わる色々なこと、身体障害者補助犬法や補助犬の一生を知ってもらう目的で各項目に分けてご紹介します。

盲導犬の仕事

盲導犬の主な仕事は?

  • 道の左端(時により右)に沿って歩く。
  • 障害物を避けて歩く。
  • 段差や交差点で止まって知らせる。
  • ドアやエスカレーター、改札などの目標物を探す。

盲導犬はナビ?

盲導犬に「郵便局まで行って」「駅まで連れて行って」といえば、ナビのように誘導して目的地に連れて行ってくれるわけではありません。ユーザーは頭の中にある地図によって、盲導犬に指示を出します。

盲導犬ではなく、ユーザーに

もし、ユーザーが道に迷っていたり、困っているようなら「何かお手伝いしましょうか?」と、ユーザーに声をかけてください。また「今、信号は赤ですよ」「○○行きのバスですよ」などと声をかけていただくととても助かります。

盲導犬は大切なパートナー

ユーザーは盲導犬のシャンプー・ブラッシングから健康管理まで盲導犬の生活の全てに責任をもち、愛情をもって接します。だからこそ盲導犬もユーザーを信頼し、仕事も喜んでするのです。盲導犬は家族の一員です。

盲導犬に出会ったら

あたたかい無視を

ハーネスをつけた盲導犬はユーザーが安全に歩行できるよう仕事に集中しています。声をかけたり、触ったり、口笛で呼んだりせずに、そっと見守って下さい。

これはNG!

盲導犬は決まった時間にユーザーが決まった食事を与えます。それがくずれると、おなかの調子がおかしくなりかねません。水や食べ物はやらないで下さい。それと、無断で写真や動画は撮らないで下さい。

怖がらないで

盲導犬は吠えたり、かんだり、人に危害を加えることはありません。犬が嫌いな人も怖がらないで静かに見守って下さい。

ペットと散歩中だったら

さりげなくサッと通り過ぎていただくと有難いです。また挨拶はユーザーにして下さい。

盲導犬ユーザーを誘導するときは

腕や手をつかんで引っ張ったりせず、あなたの肘や肩を貸して下さい。方向は右・左など具体的に。盲導犬のハーネスにはさわらないで下さい。もし、駅のホームや工事現場などで「危険!」な時は、「盲導犬の人、止まって!」と、先ず制止して下さい。

盲導犬の一生

「誕生」

「ブリーディングウォーカー」と呼ばれるボランティアのお家で生まれます。親犬と一緒に生活するのは約2ヶ月間です。

パピーウォーカーと

パピーウォーカー(子犬育成ボランティア)のお家にあずけられ、普通の家庭犬と同じように愛情たっぷりに育てられます。

訓練センターへ

「音や匂いに過敏に反応しないか」「従順でおとなしい性格か」など、盲導犬としての適性があると判断された子犬は、その後4~6ヶ月間「仕事に集中する」「人の指示にしたがう」といった基本から「段差で止まる」「障害物を避ける」など専門的動作の訓練を受けます。

パートナーとの共同訓練・現役で活躍

盲導犬を希望する人と、4週間センターで一緒に生活して、共同訓練を行います。その後、約10歳になるまで、盲導犬ユーザーのパートナーとして活躍します。

引退

年を取ると、だんだんと運動能力が落ち、盲導犬として活躍できなくなります。パートナーとお別れして、リタイヤウォーカー (引退犬の世話するボランティア)のお家でのんびり余生を過ごします。

接し方について

盲導犬は、視覚障害者が安全に移動することを助ける犬です。ハーネス(胴輪)を着けている時はその仕事中です。盲導犬に対しては、仕事に集中できるように「温かな無視」をお願いします。

また、盲導犬ユーザーに対して誘導等が必要なときは、そのユーザーの意志を尊重して介助してください。この2つが基本ですが、その実践方法について、以下に詳細を記します。

  • 盲導犬には触らないでください。
  • 盲導犬には声をかけないでください。
  • 盲導犬は見つめないでください。
  • 盲導犬には食べ物を与えないでください。
  • ハーネスや引き綱(リード)には手を触れないでください。
  • 盲導犬は、危害を加えるようなことはありませんので、犬の苦手な方もこわがらないでください。
  • 盲導犬がユーザーの指示にしたがって誘導しているときは、その誘導を尊重してください。

盲導犬は、道の左端(時によっては右端)に沿って歩きます。盲導犬は、道路交通法で左側通行を認められています。

  • ユーザーが盲導犬を叱るのは、しつけのためで、いじめているのではありません。
  • 誘導が必要な時は、それぞれのユーザーに誘導法を確認してからお願いします。基本的には、盲導犬ユーザーの右側に立ち、あなたの左腕を持ってもらうか、 右後ろから言葉で方向を指示してください。
  • ユーザーが、道に迷っていると思ったら、「何かお手伝いしましょうか?」と、盲導犬ではなく、ユーザーに声をかけてください。
  • 盲導犬の排泄は、ユーザーが適当な時間に自分でさせます。
  • 盲導犬は、ユーザーと一緒に行動することが基本です。盲導犬だけを集めて待たせるようなことはしません。

参考資料(北海道盲導犬協会HPより)

身体障害者補助犬法

身体障害者補助犬(以下、補助犬)とは、盲導犬、介助犬(身体の不自由な方の生活に必要な動作を介助する)、聴導犬(耳の不自由な方に音を知らせる)、の総称です。

補助犬は身体障害者の生活の中で、様々なサポートをする役割を持っていますが、「犬が苦手な人もいるから・・・」、「食べ物を扱っているから入らないで・・・」などの理由から、店や宿泊施設、交通機関などで補助犬の受入を拒否されることがありました。 そこで、平成14年10月、補助犬使用者が補助犬とともに、多くの施設や交通機関を円滑に利用できるようにすることを目的とし「身体障害者補助犬法」が施行されました。

身体障害者補助犬法の具体的な内容

  • 補助犬育成施設はそれぞれの障害者の状況にあった適切な訓練をしなければならない。
  • 公共施設や公共交通機関、また、スーパーやレストランなど、不特定多数の方が利用する民間施設等は補助犬を伴った利用を拒んではならない。
  • 民間住宅管理者は、居住者が補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。
  • 補助犬を同伴するときは補助犬であるという表示をつけなければならない。また、補助犬の体を清潔に保つとともに、予防接種及び検診を受けさせることにより、周りに迷惑をかけないようにしなければならない。
  • 国及び地方公共団体は補助犬が果たす役割の重要性について国民の理解を深めるよう努めなければならない。

この他、様々な内容が補助犬法には定められており、それぞれの立場で果たすべき役割を明確にすることで、お互いに理解し合い補助犬とその使用者の受け入れが円滑に進むことをこの法律は目指しています。

平成19年には法律の一部が改正され、都道府県・政令市・中核市に補助犬使用者や受入側施設からの苦情や相談の申し出があったとき、必要な助言や指導を行う他、場合によっては関係行政機関を紹介する役割を担う相談窓口が設けられました。 また、一定規模以上(従業員56名以上)の民間企業に勤務する身体障害者が補助犬を使用することを拒んではならないという内容もこの改正により新たに加わりました。 ぜひ、多くの方に身体障害者補助犬法をご理解いただき、補助犬と使用者がより快適に生活できる社会づくりにご協力をお願い致します。

視覚障害者の介助方法

以下は、主に白杖歩行をしている視覚障害者の介助方法について書いたものです。手引きの方法以外は、盲導犬ユーザーに対しても基本は同じですので、参考にしてください。 視覚障害による不便さを持つ方々が、私たちと同じように快適に社会生活を送る為には、様々な場面でのサポートが必要になります。ここでは視覚障害者に対する適切な介助方法をご紹介します。

声をかける

交差点やホームなどで周囲の状況がわからなくなっている人や道に迷っている人を見かけたら、「お手伝いしましょうか?」など気軽に声を掛け、手を貸してください。

手引きの方法

視覚障害者を誘導する方法に「手引き」があります。これは互いに歩きやすく、視覚障害者が誘導する人の動きを理解するのにもっとも合理的な方法です。手引きをする際は視覚障害者の1歩前に立ち、あなたの腕もしくは肩や肘に手を掛けるのが一番自然な歩き方です。そして視覚障害者のスピードにあわせ歩くように心がけましょう。

部屋に入った時

部屋や集合場所に入ったら、そこが始めての場所なら、部屋の広さや窓の位置・机の位置など簡単に説明して下さい。もし初めての場所でなくても、何人ぐらいの人がいるかなどを説明してください。椅子を教える場合は視覚障害者の手を椅子の背に触れさせれば充分です。座敷の時は、座る向きなどを教えてください。

食事介助

食事介助をする場合、目の前にある食器の位置や料理の内容を説明しましょう。
説明をする際はテーブルを時計の文字盤にたとえ、「3時方向に○○、12時方向に○○があります」などと説明すると分かりやすいと思います。お茶を勧める時には、「お茶です」と茶碗に触れさせてください

方向や場所を聞かれたら

視覚障害者に行きたい場所や方向などを聞かれた場合は「あっち!」「こっち!」というようなあいまいな説明ではなく、具体的に「左」「右」「前」「後ろ」などの方向と現在の位置からおよそ何メートルという説明をしてください。

乗り物への案内

乗り物へ案内する時は電車・バス・自動車などの入り口やドアに触れさせてくだされば大丈夫です。電車やバスの場合、乗車後は座席まで案内をしましょう。車内に空席がないときは、つり革や握り棒など手がかりになる物に触れさせてください。