子どもたちの質問に答えました
小学校での講演会後、児童のみなさんの質問に答えました。
盲導犬といっしょにいたら、安心ですか?
盲導犬は、私が落ちたり、ぶつかったりしないように、手前で止まって知らせてくれたり、危険な物をよけて誘導してくれますので、その点では安心です。いつも、一緒にいてくれる穏やかで可愛い相棒がいることも、とても心強いです。
盲導犬はなんでほえないんだろう?
盲導犬になる子犬は、いつも人間がそばにいて、安心できるように育ててもらっています。そうやって不安にならないように育ててあげると、犬もほえる必要がなくなるので、めったに吠えない落ち着いた犬に育つのだそうです。
ワンちゃんはやさしいですか?
はい、やさしいです。私が悲しいときや、痛い思いをしているときは、とても心配そうにして、体をすりよせてくれます。犬は口はきけないけれど、人の気持は、感じ取ってくれます。
野生の盲導犬は、どこにいますか?
野生の盲導犬はいないんです。盲導犬になる犬は、人が選んだ健康で優秀なおかあさん犬から生まれた子犬で、盲導犬は生まれたときから死ぬまで、人の手によって大切に育てられています。
ねこは、盲導犬になれませんか?
猫は盲導犬になれません。なぜかというと、猫は人が行きたい所へ行くのではなくて、自分の行きたい所に行くからです。動物の中でも、ご褒美に餌を与えなくても、主人が喜ぶだけで、それを喜んでしようとする動物は犬だけだと言われています。犬は人の喜ぶことを喜んでしようとする素晴らしい特性があるんですね。その特性を訓練によって最大限のばしたのが盲導犬です。だから盲導犬になれるのは犬だけなんです。ただ、馬は、もしかしたら人を誘導できるかもしれないということで、訓練している国があると聞きました。
ぼくのうちは、チワワを2ひき飼っています。チワワは、盲導犬になれますか?
残念だけど、チワワは盲導犬になれません。日本で盲導犬になっているのは、ラブラドールレトリバーや、ゴールデンレトリバーなどの中型犬です。どうして小さい犬が盲導犬になれないかというと、盲導犬の大事な仕事の中に『りこうな不服従』という難しい仕事があるからです。『りこうな不服従』というのは、危険なときは、主人が進めと言っても、絶対に進まないで主人を止める仕事です。でも、その仕事をするためには、ある程度体が大きくて、足を踏ん張って人間を止めることができる力がなければいけません。小さな犬だったら、人は自分のほうが正しいと思って、犬より前へ進んでしまいますからね。そんなわけでチワワは盲導犬にはなれませんが、かわいいペットになれますね。
セントバーナードの盲導犬はいますか?
はい。私は、国際補助犬学会で、セントバーナードの盲導犬に会いました。カナダで訓練を受けたのだそうです。そのユーザーの方が盲導犬の訓練をしてもらった訓練所では、使用者の希望する犬にテストをおこない、盲導犬になる能力があると判定された場合は、どんな種類の犬でも訓練してくれるのだそうです。世界では、色んなチャレンジをしているのですね。
ただし、日本では、セントバーナードを盲導犬にしたという話は聞いたことがありません。日本でセントバーナードの盲導犬と新幹線やタクシーに乗るのは、狭くて難しそうですものね。
ぼくんちの犬は、どうしたら盲導犬になれますか?ぼくんちの犬は、ラブラドールレトリバーです。
あなたのお家のわんちゃんを盲導犬にしてもいいと思ってくださったんですね。ありがとう。 ところが、日本では、普通のお家で飼われているラブラドールレトリバーが盲導犬になることは、めったにありません。盲導犬になる候補犬は、その親犬、その前の親犬、その前の親犬と、みんな非常に能力が高く、健康で、盲導犬に向いた性格だったことが証明されている特別な犬たちです。特例として、優秀な家庭犬の子犬が候補犬になる場合があると聞きましたが、あくまでそれは特例だそうです。
盲導犬は、家では、お仕事が終わりで、ごはんとかいろいろなことをふつうの犬みたいにやっているんですか?
はい。家に入ってハーネスを外すと、盲導犬としての仕事は終わりです。盲導犬の食事の時間や、食事の方法、排泄の時間や、排泄の方法など、いくつか決まりはありますが、その他のことは、普通の家庭犬とさほど変わらない生活をしています。
人に触られて動いてしまったことはありますか?
はい、あります。盲導犬になる犬たちは、基本的に人が大好きです。ハーネスを付けていても、他の人から触られたり、声をかけられたりすると、そちらに気を取られて動いてしまうことがあります。ですから、ハーネスを付けて仕事をしている盲導犬に対しては、ユーザー以外の人は、「触らない、声をかけない、食べ物を与えない、温かな無視」をお願いします。これは、盲導犬が仕事に集中するために、ぜひ皆さんに守ってもらいたい大切なことです。
なぜ、犬の言葉がわかるのですか?(そう見えていた子がいるみたいです!!)
残念ながら、私は犬の言葉はわかりません。ですが、いつも一緒にいるので、なんとなく気持ちがわかることがあります。お母さんが、まだお話のできないあかちゃんの気持ちを感じていつも話しかけているのに似ているかもしれませんね。
盲導犬は、どこで買うのですか?
私たち日本の盲導犬ユーザーは、盲導犬を買うのではなく、借りることが多いです。県や、市町村、点字図書館、団体などがお金を出して、目の見えない希望者に盲導犬を貸与しています。ですから、私たちユーザーは、盲導犬を持ちたいと思ったときには、まず、そうした所に相談し、貸与してもらえることになったら、自分が訓練をうけたい盲導犬訓練所を選んでおよそ1か月間、新しい盲導犬と一緒に合宿訓練等を受けます。そして、必要な訓練をすべて受けてから盲導犬の貸与を正式に受けて歩き出すことができるのです。
盲導犬を、この子にしようというのはどうやって決めるのですか?
私と、この子が訓練を受けた訓練所では、歩行訓練士さんが、パートナーを決めています。犬との訓練のときには、一緒に訓練を受けたユーザーが3人いて、基本の訓練が終わった候補の犬が6頭いたそうです。訓練士さんは、私たちが合宿訓練のために到着した日と翌日、それぞれの身長、歩き方、性格などをよく観察し、「この人にはこの子がいいだろう」ということを決めて、他の職員の人たちともよく話し合い、新しい盲導犬と出会う「結婚式」のときに引き合わせてくださいます。それは、とてもうれしくてどきどきする瞬間です。
盲導犬は、年をとってボランティアの家にいっても、まだ盲導犬という意識があるのですか?
それぞれの犬によって違うようです。ラブラドールレトリバーは、新しい環境や人に適応する能力がとても高いそうです。そのため、引退した老犬は、間もなく新しい家族を受け入れて、その家族の一員として暮らすようになります。ただ、犬によっては、ふいに盲導犬だったことを思い出す子もいるらしいのです。
ある老犬は、新しい目の見えるご主人とお散歩に出たときに、交差点の手前で四肢を踏ん張って止まってしまい、どんなに引っ張っても動かなかったそうです。盲導犬の指示語を知らなかったその新しいご主人は困ってしまい、その老犬をだっこして横断歩道を渡ったそうです。もしかしたら、その老犬は、新しいご主人が危険だと思って、必死で止めてくれていたのかなあと私は想像しました。
ぼくは小学校4年生です。ぼくは盲導犬の1日について調べることにしました。朝、起きて寝るまでの盲導犬の様子を教えてください。
この子の場合の1日の生活は、私のその日の予定によって変ります。週に三日か四日は色々な所へ出かけます。普通の日は、朝8時に食事。ボウル一杯のドッグフードなどを食べて1日分の栄養をとります。庭の隅のトイレで排泄。それが済むと、天気のいい日は庭で、雨の日はベランダで、ブラッシング。家に入る時は足を拭いて、水を飲んで、しばらく休憩時間。私が家事をする間は普通の犬のようにそばにいたりして遊んでいます。私が何か落としたりすると、物を拾って(フェッチ)くれます。
ベランダから戻ると、水を飲ませて休憩。午後からは出かけることが多いです。ハーネスや引き綱をつけると、仕事モードになります。
郵便局やスーパーなどへ行き、帰りは散歩することもあります。家に着くとハーネスを取って休憩時間。その後、食事・最後の排泄をして8時頃には就寝。ユーザーによって職場で大半を過ごす盲導犬もいますが、出勤時以外はたいてい休憩しています。
